山菜の巻
獲って喰らって元気はつらつぅ?
山菜狩りは、取る楽しみと食べる楽しみが同時に味わえる、
お手軽野遊び。お金も掛からないので現代日本にオススメです!
整いました!山菜狩りとかけまして、ブルーチップととく。その答えは・・・どちらも“ハルの楽しみ”でしょう・・・デブっちです!
山菜狩りは、長い冬をじっと耐えた山の民が、春の訪れを実感する天からのご褒美です。同時に稲作や野菜作りも始まり、その喜びも加わって、都会の花見にも匹敵する大切で心躍るイベントと言えます。従いまして、都会に住む者が山菜狩りに入る時には“取らせてもらう”“少しだけ分けてもらう”という謙虚な姿勢が必要です。便利な都会で、ぬくぬくと冬をやり過ごした者が、ひょいっとやって来てゴッソリ掻っ攫って行ったのでは、ムシが良すぎます。
山菜自体は山の雑草のようなものですから、看板などで入山が禁止されている場所でなければ、自由に山菜を採取して構いません。山の所有者の善意なわけですから、それだけにルールを守り、自分達が食べる分だけ分けてもらうという姿勢が必要なのです。最大のルールは、根こそぎ獲らないということ。来年もそこで山菜狩りを楽しめるよう、少しずつ残して採取するのです。例えばコゴミなら一株に5~6本の新芽が出ていますので、2本は残します。タラの芽なら、一番芽が折り取られた後に出てくる二番芽は決して取らないこと。二番芽を取ってしまうとその木は枯れてしまいます。のこぎりで切り倒して収穫するなど、決してよそ者には許されることではありません。
もちろん、タバコなどの火の始末には充分注意し、ごみは持ち帰るのは当然です。食べ物を山に捨てることは生態系を乱すことになるので、食べ残しも全て持ち帰ります。山で人に遇ったら、にこやかに挨拶し、山菜を取らせてもらっていいか聞いてみるぐらいの謙虚さがほしいものです。ルールとしてはこんな当たり前のことぐらいですから、誰でも気軽に始められます。ただし、山には沢山の危険もありますので、注意が必要です。
まず、熊やイノシシなどの猛獣。彼らに遭遇したら、命の保障はありません。熊避けの鈴をつけて遭遇を避けるか、万一に備えて熊撃退スプレーなどを用意するなどの対策はとっておいた方が賢明です。犬を連れたり、おしゃべりな仲間とワイワイ会話しながら入山するのも有効でしょう。また、マムシやヒルなどを避けるために、厚めの長靴と軍手は必需品。長袖・長ズボンで肌を隠すことも基本です。鎌やのこぎりは必要ありません。手で取れる分だけ取りましょう。天気の安定している日を選び、遅くとも午後2時には下山するぐらいの予定で行動すると安心です。
縄文人の本領発揮!
さて、講釈はこのぐらいにして、早速山に向かいます。今年は春の訪れが2週間は遅かったので、例年より1週間ほど遅い入山にしました。山に入ってみると、やはり草自体が例年より少ない。ほんの1週間前まで寒かったのですから無理もありません。マムシが怖いので、落ちていた枝を杖のようにして地面を叩きながら進みます。すると、ありました!コゴミです。1つ見つけると、次々にコゴミが目に飛び込んできます。これを片っ端から折り取り、持参のレジ袋にどどどと放り込みます。
スーパーなどでもおなじみのコゴミ。
爽やかな風味とトロリとした食感が人気の山菜です。
採取する時は2~3本ずつ残すようにして取ります。
ふと見ると、コメゴメが芽吹いています。これはそこら中に生えている木ですが、立派に食える。これも、さささと取って、ぽぽぽと袋に放り込む。われながら実に手早い。沢づたいを上って行くと、ミズやフキの顔も見えたものの、いずれもほんの赤ちゃんで、採取はムリ。やはり、2週間は遅れている感じです。タラの芽もようやく動き始めた程度で、殆ど採取不能・・・う~む、これは前途多難です。
コメゴメ。何の変哲も無い木の芽ですが、ほんのりとゴマのような風味があり、
クセもエグミもないので、使いやすい山菜。
仕方が無いので、豊作のコゴミに専念して狂ったように採取していると、ついに出ました!アイコちゃん!!アイコというのは、ミヤマイラクサという山菜で、東北ではダントツの人気を誇ります。茎や葉にびっしりと産毛のようなトゲが生えていて、これに触れると猛烈に痒い。痒くて痒くてイライラするからイラクサというそうです(ホントだってばぁ)。トゲは軍手を通さないので、ためらわず折り取ります。そして周囲を凝視すると、ポツリポツリとアイコが生えているではありませんか。
まだまだようやく土から芽を出したばかりのものも多く、成長したものだけをポキポキと採取。これも目が慣れてくると、アイコの方から目に飛び込んできます。今まで、コゴミしか見えなかったのに、アイコ以外は目に入らなくなるのです。クラスNO.1のカワイコちゃんの前に美人転校生が現れるや、男どもの網膜には美人転校生しか映らなくなるのと同じアレです。山をよじ登り、谷を飛び越え、2度ほど沢に転げ落ちたりしながら、アイコ取りに奮闘。ついに1時間ほどでレジ袋一杯のアイコをゲッツ!これだけあれば食べきらないぐらいだ!と高笑いするオラ。「少しだけ分けてもらうという謙虚さが大事」が聞いて呆れるでしょ?へへっ!
これが山菜の王様「アイコ」。びっしりと生えた産毛のようなトゲが目印。
一本見つければ周囲にも沢山生えています。
ウグイスをBGMに山菜三昧!
合計4時間ほどあちらこちらの山をうろついてゲットした山菜は10種類。イタドリ、スカンポ、セリ、タラノメ、コメゴメ、アイコ、ヤマワサビ、フキ、コゴミ、アケビノメなど。これらを持ち帰り、早速喰らいます。春の山菜は、半年近い冬をじっと耐え、地中で蓄えてきた生命力を爆発的に開放させて芽を伸ばしたものです。それだけに、滋養がたっぷり詰まっていて、食べれば元気はつらつぅになることウケアイです。
実際、ポリフェノールがたっぷりで、春の山菜を食らえば、わざわざサプリなんぞ飲む必要はありません。冬の間になまった体をシャンとさせる意味でも、山菜を食べることは山の民にとって重要なことだったのでしょうね。無論、一年中カラダがなまっているオラにとっても、春の山菜は欠かせない健康食です。庭にカセットコンロを持ち出して、ウグイスの声をBGMに山菜料理に取り掛かることにしましょう!
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フキ。 |
ヤマワサビ。 |
コメゴメ。 |
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コゴミ。 |
アケビの芽。 |
アイコ。 |
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タラノメ。 |
ノビル。 |
セリ。 |
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スカンポ。 |
イタドリ。 |
◎タラノメとコゴミのワサビマヨ
タラノメとコゴミをいい感じに切って、さっと塩を振っておきます。彩りにパプリカを細切りにしたものを加え、オリーブオイルでジャジャッと炒めます。マヨネーズにワサビを加えて和え、トッピングして出来上がり。タラノメのほろ苦さとワサビのツンとした辛味が利いた大人のおつまみです。イタリアン風ですが、日本酒がススム君です!
◎フキのフワトロ卵とじ
フキはアクが強いので、短めに切って水に放し、アク抜きをします。何度か水を替えて水に色が付かなくなるまでしっかり抜きましょう。フライパンに油を熱し、フキを炒めます。だしの素、醤油、少々の砂糖で味付けし、みりんを加えたとき卵で閉じてすぐ火からおろします。オムレツのようにふわっふわに仕上げるのがコツです。フキの苦味を卵がまろやかに包み込んだ一品で、こちらはビールと焼酎がススム君です!
◎セリの味噌チャンプルー
セリ、豆腐を一口大に切り、油で炒めます。そこへ日本酒で溶いておいた味噌を加え、卵を回し入れ、火を止めます。余熱で卵に火が通ったら、器に盛り付け、刻みねぎ、かつお節をトッピングして出来上がり!こちらは日本酒とご飯がススム君です!
◎ノビルの油味噌
ノビルをよく洗い、みじん切りにします。玉ねぎ同様、涙がこぼれますが、我慢して刻みます。熱したフライパンに油を引いてみじん切りしたノビルを炒め、味噌、砂糖を加えて弱火で炒めます。油がまわり、粘りが出てまとまってきたら完成。甘辛なので、焼酎が相性ばっちりんこです!
◎コメゴメのクルミ和え
コメゴメ自体はほんのりゴマのような香りがする、クセの無い山菜なので、さっと湯がいてみじん切りしたクルミで和えてみました。コメゴメの香りにクルミの香りがバッチリマッチして、グーな一品。口の中がサッパリとリセットできて、酒がなんぼでもススミます。味付けは、醤油かツユ。
◎スカンポの豚しゃぶロール
酒を加えたお湯でしゃぶしゃぶした豚肉を冷水にとっておきます。スカンポは、塩を加えた熱湯に10秒ほどくぐらせ冷水に取ります。スカンポは茹ですぎると融けてしまいますので、10秒以内が目安。一口大に切ったスカンポを芯にして豚肉で巻き、ポン酢をかけて出来上がり!スカンポの酸味と豚肉のコク味が渾然一体となって、思わずほっぺが落ちてしまう一品!
◎イタドリのパスタ早ぶー風
イタドリは塩を加えたお湯でさっと茹でて、冷水にとっておきます。茹でたパスタに薄く輪切りにしたイタドリを加え、軽く炒めて醤油で味を調えて出来上がり!茹でたイタドリは風味といい歯ごたえといい、上質のピクルスのようで、食欲を刺激してフォークの回転に加速がついて困ります。ワインによく合うのは言うまでもありません!
◎アイコの炒め煮
アイコの食べ方でこの右に出るものはありません。アイコを一口大に切り、油を絡めるように炒めます。ダシの素をまぶし、火が通ったら多目の酒と醤油を加え、フタをして弱火で20分ほど煮れば完成。分量は普通の煮物と同じ。炊き立てのご飯にこれを乗せ、はむっと食べてごらんなさい。えもいわれぬ風味とコク味が口中に広がり、ご飯が何杯でもいけてしまいます。〆には、炒め煮のツユを白飯にかけ、ワシワシ掻き込むべし!美味いのなんの、ほっぺがいくつあっても足りません!
とまぁ、こんな具合。取りも取ったり、食いも食ったりで、大満足な一日でした。取材中、小学校の同級生に数年ぶりで遇いました。向こうは田植え準備に汗を流し、こちらはカメラとレジ袋を持ってヘラヘラしている状態。「なんだその腹は!楽してやがんな?遊んでられていいなお前は、はっはっは!」と笑い飛ばされたのは言うまでもありません。
オラ、一生懸命仕事してんのに、人様には遊んでいるようにしか見えないようで、いくつになっても貫禄いうものが身につきません。やれやれ、山菜のようなほろ苦さが残った一日でもありましたな・・・
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早ぶー(宮城県出身、脳年齢不詳)◎プロフィール 仙台市内随一のおバカ高校卒業後、上京してコピーライターに。仙台に戻り、広告業界の片隅でくすぶり続けるも、ある日2000万円の懸賞に目がくらみ小説を書き始める。が、鳴かず飛ばずで現在に至る。「器用貧乏とは、器用な人間が貧乏するのではない。貧乏が器用にするのだ」という迷言を吐き、現在一人で文章を書き、写真を撮り、イラストを描いては小器用に生活している。愛読書はブックオフの100円文庫。 |



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